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ハインズ、パロッツと続く新世代ガレージを
120%楽しむためにも、さすがに知らないと
恥ずかしいガレージ・クラシックス10選
by YOSHIHARU KOBAYASHI September 30, 2016
ハインズ、パロッツと続く新世代ガレージを<br />
120%楽しむためにも、さすがに知らないと<br />
恥ずかしいガレージ・クラシックス10選

ハインズ、パロッツと続くマドリード産の
新世代ガレージ・サウンドの潮流を120%
楽しむための2016年必聴ガレージ10選



1. Link Wray
ガレージ・ロックの源泉を辿って行けば、必ず突き当たるのが革ジャンに身を包んだ不良ロッカーたちのヒーロー=リンク・レイ、そして彼の代表曲“ランブル”でしょう。ザ・フーのピート・タウンゼントも、「リンク・レイと“ランブル”が存在しなければ、俺はギターを手にしなかった」と言い切っているほど。

Link Wray / Rumble(1958)


レコーディング・スタジオのスピーカーに穴を空けて生み出したという激しく歪んだギター・サウンドは、ガレージ・ロックでも多用されるディストーションやフィードバック・ノイズの原型と言っていいはず。ギターの低音弦のみを力強く弾いてガツンとした厚みのあるサウンドを生み出す、パワー・コードを初めて使ったのもこの曲でした。タイトルがギャングの抗争を意味する俗語だったので放送禁止になったのは有名な話ですが、そのサウンドも今にもストリート・ファイトが勃発しそうな危険な香りに満ちています。



2. The Kingsmen
時代や国境を越え、数えきれないほどのカヴァー・ヴァージョンが生み出されてきた“ルイ・ルイ”は、ロックンロールの、そして勿論ガレージ・ロックの永遠のクラシック。この曲がこれほどまでに愛されるのは、ダンスホールや学生向けのパーティで演奏するバンドを指す「フラット・ロック」の代表格、キングスメンのカヴァーがあったから。

The Kingsmen / Louie Louie(1963)


オリジナルはリチャード・ベリーが1957年に発表。元々はラテンのリズムを取り入れたR&Bバラードでしたが、キングスメンは世界最古のガレージ・バンドの一組ウェイラーズのヴァージョン(1961年)を下敷きにカヴァー。延々と繰り返される、「ダダダッ、ダダッ、ダダダッ、ダダッ」という3コードの円環リフ。これが醸し出すグルーヴだけで、この曲は完璧と言うほかありません。わずか52ドルという低予算での一発録りのため、ミスもそのまま収録されていますが、それが逆に生々しい感触を強めています。



3. The Monks
60年代にガレージ・ロックの熱狂は世界中に飛び火していきました。それを証明するバンドの一組が、ドイツを拠点に活動していたモンクス。とは言え、彼らはドイツ人ではありません。ドイツに駐留していたアメリカのG.I.たちが除隊後も母国に帰らずバンド活動をしていたという、かなり強烈な経歴の持ち主。頭頂部を剃り上げて修道服をまとったヴィジュアルや、反戦のメッセージを込めたストレートなリリックも強烈。でも、やはり一番強烈なのはそのサウンドでしょう。この“コンプリケイション”は、力の限り掻き鳴らされるエレクトリック・バンジョー、暴力的なファズ・ギター、不協和音を打ち鳴らすオルガン、そして金切り声のシャウトが混然一体となった凶暴なガレージ・パンク。

The Monks / Complication(1966)




4. 13th Floor Elevators
前編のリードにも書いた通り、ガレージ・ロックは1972年にレニー・ケイが編纂した『ナゲッツ』で体系化されたと言われています。勿論、このコンピは宝の山。エレクトリック・プルーンズ“アイ・ハド・トゥー・マッチ・トゥ・ドリーム(ラスト・ナイト)”シーズ“プッシン・トゥー・ハード”カウント・ファイヴ“サイコティック・リアクション”と、同作収録のクラシックスを挙げればキリがありません。が、その『ナゲッツ』勢の中でも、ここで敢えて一組をピックアップするならば、何はともあれ13thフロア・エレヴェーターズでしょう。

13th Floor Elevators / You’re Gonna Miss Me(1966)


彼らは、プライマル・スクリームやR.E.M.からジュリアン・コープやスペースメン3やパロッツまでが影響を口にする、サイケデリック・ガレージを語る際には避けて通れない存在。『ナゲッツ』にも収録のデビュー・シングル“ユア・ゴナ・ミス・ミー”は、ジャグ・バンド・ミュージックとリズム&ブルーズを衝突させ、LSD漬けにしたような、初期サイケデリック・ロックの大名曲です。



5. The Dukes of Stratosphear
当たり前のことですが、60年代サイケデリック音楽の宝は、『ナゲッツ』だけに眠っているわけではありません。それを改めて気づかせてくれるのが、XTCによる変名プロジェクト、デュークス・オブ・ストラスフィアです。初EP『25オクロック』、そしてフル・アルバム『Pソニック・Pサンスポット』には、サイケデリック期のビートルズやキンクス、バーズ、ホリーズ、シド・バレット在籍期のピンク・フロイドなどへのオマージュがぎっしり。イギリス物を中心に、60年代サイケを全方位的にフックアップしているのは流石です。『25オクロック』のジャケットは『カラフル・クリーム』、そしてタイトル・トラックはエレクトリック・プルーンズ“アイ・ハド・トゥー・マッチ・トゥ・ドリーム(ラスト・ナイト)”が元ネタでしょうか。

The Dukes of Stratosphear / 25 O'Clock(1985)


『25オクロック』がエイプリル・フールに発売されたことが示唆するように、このプロジェクトは元々ジョークとして始まったところがあるはず。しかし、だからこそ、ここには肩の力が抜けているがゆえのカジュアルな楽しさと、余技とは言えXTCならではの驚異的な完成度の高さがあります。確かにサイド・プロジェクトではあるものの、この名義での2枚はXTC本体にも引けを取らない裏名盤です。



6. The Gories
ベースレスの男女混成トリオ、ゴーリーズは80年代後半から90年代初頭にかけてのデトロイトの象徴。つまりは、ストゥージズとホワイト・ストライプスの間を繋ぐ存在。ギタリストのミック・コリンズは「めちゃくちゃロウでプリミティヴなサウンドを出して、その言葉の定義自体を変えてしまうのがバンドの使命」と語っていたそうですが、代表曲のひとつ“ニトログリセリン”を聴けば、その言葉が本気であったことがわかるはず。

The Gories / Nitroglycerine(1990)


ちなみにジャック・ホワイトはゴーリーズの熱心なファンで、彼らのライヴ・アルバムを自身のレーベル〈サード・マン・レコーズ〉からリリース。「60年代以来、ベストなアメリカのガレージ・バンド。すごくプリミティヴで……レスポールを持ってマーシャル・アンプを使っている奴らがマヌケに見えるようになったのは、彼らがいたからさ」と手放しの賛辞を寄せています。



7. Thee Headcoatees
90年代の真性ガレージ・ロックと言えば、真っ先に名前が挙がるのはビリー・チャイルディッシュ率いるヘッドコーツ。ジャック・ホワイトがゴーリーズと並んで多大なリスペクトを表明しているバンドであり、日本ではミッシェル・ガン・エレファントの影響で名前を知った人も多いはず。が、ここでは敢えてヘッドコーティーズをピックアップしたいと思います。ヘッドコーティーズは、ヘッドコーツがバック・バンドを務める女子4人組。ガレージ版のガールズ・コーラス・グループといったところでしょうか。この“デイヴィ・クロケッツ(ガバ・ヘイ)”は、ハインズのライヴ・レパートリーとしてもお馴染みの一曲。

Thee Headcoatees / Davey Crockett (Gabba Hey)(1992)




8. Thee Michelle Gun Elephant
ミッシェル・ガン・エレファントがデビューした1996年は、ガレージ・ロックと言えばまだアングラな存在。ともすれば、ガレージなんて趣味のバンドでしょ? と一蹴されてもおかしくない時期。しかし、勿論ミッシェルはその手の趣味人とはまったく違いました。のちに聴き返してみると、彼らが2000年代のガレージ・ロック・リヴァイヴァルを完全に先駆けていたことがわかります。

Thee Michelle Gun Elephant / Hi! China!(1997)


“Get Up Lucy”の12インチ・シングルなどは、ヘッドコーツも使っていたロンドンの〈トー・ラグ・スタジオ〉でレコーディング。ヴィンテージのアナログ機材が揃った、リアム・ワトソン所有の名スタジオですね。ホワイト・ストライプスの『エレファント』もここで録音されていますが、ミッシェルがレコーディングに訪れたのは、その6年も前の話でした。



9. The Hives
2000年代初頭に巻き起こったガレージ・ロック・リヴァイヴァルを牽引したのは、ストロークスやヴァインズといった真新しいバンドばかりではありません。ホワイト・ストライプス、そしてこのハイヴスのように、90年代から活動するアングラなガレージ・バンドにも光が当たり、新鮮なものとして発掘されるという現象も起きています。

この原稿の文脈で言えば、ハイヴスは「スウェーデンのミッシェル・ガン・エレファント」。ポップ音楽の中心地である英米以外の辺境の地に突如現れた、ガレージ・ロックの突然変異。ただ彼らの場合、アラン・マッギーが目をつけ、自身のレーベル〈ポップトーン〉から過去作の編集盤――その名も『ユア・ニュー・フェイヴァリット・バンド』をリリースすることで、世界的に人気が爆発。

The Hives / a.k.a. I-D-I-O-T(1997)


この“a.k.a. I-D-I-O-T”を聴いてもわかる通り、ハイヴスは、「速い、激しい、わかりやすい」の三拍子が揃った王道ガレージ・パンク。ただそれだけ。しかし、これが時代の音として2000年代前半を席巻したのです。



10. The Horrors
2000年代におけるサイケデリック・ガレージの正統な後継者は、ストロークスやリバティーンズではなく、勿論、1st『ストレンジ・ハウス』期のホラーズでしょう。当時の彼らは、2nd『プライマリー・カラーズ』以降のシューゲイザー的な陶酔はまだ見る影もなく、とにかくすべてが性急でアグレッシヴで破壊的。ほとんどドラムンベースと化している超高速ブレイクビーツをジャンクなガレージ・ロックにぶち込んだ“シーナ・イズ・ア・パラサイト”は、いまだ他に類を見ない強烈な個性を放っています。

The Horrors / Sheena Is A Parasite(2006)




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