SIGN OF THE DAY

2015年の〈サマソニ〉に行くのなら、
アリアナ・グランデを見すごしちゃうのは
一生の損。てことを証明する10の理由
by SOICHIRO TANAKA August 11, 2015
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2015年の〈サマソニ〉に行くのなら、<br />
アリアナ・グランデを見すごしちゃうのは<br />
一生の損。てことを証明する10の理由

〈サマーソニック2015〉までもう間近。もうチケットは買いましたか。両日買った? いや、ディアンジェロ目当てだし、そんなに金もないから、一日券だけ。なら仕方ない。でも、それなら昼12時からのロット・バルト・バロンを見逃さないように。今年の〈サマソニ〉最大の伏兵は彼ら。両日チケットなら、「欧米ポップ・シーンの今」を俯瞰し、堪能することも出来るんだけど、仕方ない。だって、正直、今の日本の行政はめちゃくちゃだ。市民が苦労しているのは理解出来ます。だが、ケムズ目当てで、一日券を買った人もいるだろう。なら、絶対にアリアナちゃんを観るべきだ。

は? アリアナ・グランデ? 彼女って子役出身のポップ・シンガーでしょ? 二十歳そこらの。本国アメリカでも日本でも超絶人気なのは知ってるけど、たかがティーン・アイドルの成れの果て。テイラー・スウィフトみたく若い世代の女性を代表するオピニオン・リーダーならまだしも、わがまま三昧の自由すぎる言動から世界中でやらかしお姫さま扱いされてるセレブリティ・ビッチなんじゃないの? てか、そもそも今年の夏フェスは、どこもかしも良質なインディ・バンドへの目配せがあまりに行き届いてないんじゃない? なんて、どこかの誰かの狭量な偏見はさておき、いやいや、そんな狭い心では生き馬の目を抜くポップの世界は楽しめない。アリアナの存在なくして、2015年の〈サマーソニック〉のラインナップは完成しなかった、と言っても過言ではないんですよ。ま、「今」に興味がないなら、仕方ないけどさ。

というわけで、何故、今年の〈サマーソニック〉で、アリアナちゃんを観なければ、一生の損なのか? 〈サインマグ〉が手ほどきして進ぜよう。勿論、ただで。では、参りましょう。アリアナ観ないと、一生後悔するかもしれない10の理由。




1)今年の〈サマソニ〉を象徴する存在がアリアナちゃんだから

こちらの記事でも念をおしておいた通り、今年の〈サマーソニック〉ほど、欧米のポップ・シーン全体の潮流をきちんと反映させたラインナップはない。ある意味、ワールド・スタンダード。でも、それって反グローバリズム的な視点からするとさあ、という無粋なことを言うのはやめておきましょう。知ることとそれに飲み込まれてしまうことは別なんですから。というわけで、今年のサマソニは、「大文字のポップ」の隆盛をきちんと反映しているわけです。

そう考えた時に、今年の〈サマソニ〉を象徴するのは、ディアンジェロでもなく、ケムズでもなく、ファレルでもなく、やはりアリアナ・グランデなんですね。しかも、別の記事でも記しておいた通り、現在の、どうにもチージーな産業ポップ・バンドが増えてきたなあ、という状況の中、アリアナ作品は実にきちんと作られている。きちんとしたアイデアの引用がある上に、良くも悪くもお金もかかっている。というわけで、まずはトラップ以降のリズム・プロダクションをポップに昇華させた彼女の一番の代表曲から見ておきましょう。さあ、これに文句をつけてみろ。

Problem (Live at Capital Summertime Ball/2015) ft. Iggy Azalea

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2)アンダーグラウンドとポップの垣根が崩れた2010年代前半という幸福な時代を象徴するのがアリアナちゃんだから

ここ数年、2010年代前半の欧米のポップ・シーンがエキサイティングだったのは、メインストリームとアンダーグラウンドの垣根が完全に崩れ、そこに互いの交通があったから。でもって、まさにその交錯点であり、そうした幸福な時代の象徴とも言えるのがアリアナちゃんの2ndアルバム『マイ・エヴリシング』なのです。ゲストやプロデューサーに、カシミア・キャット、エイサップ・ファーグ、マックス・マーティン、ゼッドといった、メインストリーム、アンダーグラウンドそれぞれの精鋭をずらりと揃え、二十歳すぎのアイコンをその中央に据えたアルバムは、間違いなく昨年2014年のポップ・シーンにおける最大のランドマークのひとつです。

だが、もしかすると、この先、この幸福な時代は失われてしまうかもしれない。正直、2015年になってからの北米のチャートを見ていると、そんな不安も拭えません。だからこそ、このタイミングで、彼女のステージを目撃しておきたい。

というわけで、やはり2010年代前半における、メインストリームとアンダーグラウンドの横断を象徴するプロデューサー/シンガー、ザ・ウィーケンドとのデュエット曲を貼っておきましょう。さて、当日のステージではエイベル・テスファイのパートをどんな風に処理するのかは、観てのお楽しみということで。

Love Me Harder ft. The Weeknd (Live on SNL)

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3)“バング・バング”は2014年屈指のポップ・トラックだから

誠に申し訳ないけども、これには誰にも異論は挟ませるつもりはない。ジェシーJ、ニッキー・ミナージュ、アリアナ・グランデという3人のフィメール・シンガーをフロントに据えた“バング・バング”は間違いなく昨年のシーン全体を象徴する最高のポップ・トラック。bpm75。バックトラックはほぼ1リフ。ルートの数もたったの2つ。悔しかったら、このスタイルでお前ら日本人もこんなポップ・トラックを書いてみろ。リメンバー・パールハーバー。と、度を越した冗談を言うのは慎まなければなりません。せっかく原爆投下は間違っていたと、アメリカの若者の多くが感じるようになった、この2015年に。

勿論、この“バング・バング”も今回のアリアナちゃんのツアーのセットリストに入っています。ただ、“バング・バング”最大の聴きものは、アメリカの小嶋陽菜こと我らがニッキー・ミナージュによる超絶ラップでもあるので、そこだけは残念。よって、当日、アリアナちゃんが他の二人なしにどれだけ健闘するのか、それも見物のひとつです。それが楽しみな人はこちらの映像は観ないでね。

Bang Bang (Live at Capital Summertime Ball 2015)

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4)ポップの今はEDMだけではないことの証明だから

いやあ、海外でも、少し遅れて、ここ日本でもEDMの勢いはいまだ収まること知らず。ただ欧米のチャートを見渡してみると、昨年に比べると、EMDの勢いは明らかに落ち着いてきた。しかし、興業の世界ではさらに巨大化している。つまり、EDMの主戦場はチャートではなく、むしろ現場に移行しているということ。だって、ラスヴェガス全体の収入のうち、カジノよりもEDM系巨大イヴェントからの収入の方が大きくなったというご時世ですから。つまり、EDMは音楽というよりは、巨大アミューズメントの1ジャンルになったということです。

そんな風に欧米のポップスのトレンドからはEDMがそろそろ後退しつつあるのは、欧米ポップの見本市=アリアナちゃんのステージを目撃すれば、すんなり理解出来るはず。なるほど、時代は次に進んでいるんだな、と。でも、ご安心下さい。勿論、昨年2014年を象徴するEDMトラック、ゼッドのプロデュースによるこのトラックもしっかりやってくれます。これはまさしく騒ぎ納め。がっつりブレイク・フリーのこと。

Break Free (Live on the Honda Stage at the iHeartRadio Theater LA)

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5)アリアナちゃんにとっては今回が本格的な初ツアーだから

そうなんです、今回の〈サマーソニック〉でのステージは、彼女が今年2月から開始した初の本格的ツアー〈ザ・ハネムーン・ツアー〉の一環。彼女、それ以前はこれほどの尺のステージはやったことはなかったんですね。つまり、初物。これを見逃す手はない。だって、「初めて」はたったの一度きり。しかも、6ヶ月、ツアーをまわってきての日本。完全にこなれてきてるはず。というわけで、勿論、彼女の1stアルバム『ユアーズ・トゥルーリー』からの代表曲“ザ・ウェイ”もやってくれます。え、2ndは買ったけど、1stは聴いたことがない? では、取りあえずこの曲だけでも覚えておいて下さい。

The Way (Live on the Honda Stage at the iHeartRadio Theater LA)

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6)映像と照明とダンスが織りなすスペクタクル・ショウだから

ライヴの現場での楽しさ、演出の多彩さという点からすれば、やはりロック・バンドよりもポップの方がすごい。勿論、そもそもライヴというのは生演奏の醍醐味を楽しむもの。でも、スタジアム級のサイズになってくると、視覚的な効果の重要性は増してくる。もし生まれて初めて行ったコンサートが日産スタジアムのSEKAI NO OWARIだったりすると、1000キャパのライヴハウスでのギグなんて、きっと物足りなく感じてしまうはず。これは仕方ない。

この日のヘッドライナー、ケムズ辺りはこの辺りをわかっているので、視覚的な演出はバッチリでしょう。でも、ケムズの場合、パフォーマーはずっと機材に囲まれてるだけですから。しかも、今回の場合、トムがひとり。と考えると、映像と照明、ダンスのすべてを駆使したアリアナちゃんのステージは間違いなくこの日最大のスペクタクル・ショウになるはず。

では、ここでは敢えてPVを貼っておきましょう。ハリウッドのブロックバスター映画ばりにSFXを駆使したもんだから、映像にばかり気持ちが行ってしまって、まったく曲が耳に残らないという噂もある“ワン・ラスト・タイム”。是非、当日はこのクリップのイメージを反映させた演出をお楽しみ下さい。スペクタクル=見せ物ってこういうことかあ、と感嘆すること至極なはず。

One Last Time

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7)予想もしない驚きのトラックも繰り出してくるから

今回のアリアナちゃんのステージ、やっぱり初ツアーだけあって、セットリストも限られてくる。なので、思わぬ驚きのトラックも仕込んでるわけです。よって、ここはネタバレ。当日びっくりしたい人は飛ばして下さい。と言いたいところなんだけど、ほとんどのキッズはわかんないはず。だって、ホイットニー・ヒューストン93年のメガ・ヒット“アイム・エヴリィ・ウーマン”とやはりマドンナ90年のメガ・ヒット“ヴォーグ”のマッシュアップなんです。

ここ、海外だと、ハイライトのひとつなんですね。やっぱ老若男女誰でも知ってる曲だから。でも、日本だとそうは行かない。だけど、もし〈サマーソニック〉で受けないと、アリアナちゃんが可哀相じゃないですか。なので、予習しておきたい皆さんのために今は亡き愛しのホイットニーのオリジナルを貼っておきます。名曲ですよ。マドンナの“ヴォーグ”はググってね。

Whitney Houston / I'm Every Woman

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8)アリアナちゃん、ちょっと顔大きくない?という失礼な外野の声に反論したいから

ふんがー、失礼な。しかも、ルッキング云々の問題がここかしこで囁かれる時代に、なんと差別的なことを書いているのか。だが、本当の美というのは物理的なシェイプのことを指すのではない。これが前提。だが、しかし、内面の美しさ云々という面倒臭いことが言いたいわけでもない。と同時に、それぞれの時代に確かに最大公約数的な美の基準らしきものがあるのは認めよう。でも、そこから食み出してしまう個性こそが何よりももっとも輝くもの、それだけは絶対に忘れてはなりません。

間もなく不惑を迎える、日本を代表するフィメール・ブルーズ・シンガーaikoが今なおさらなる輝きを手にしていることを思い出されたし。因みに彼女のツイッター・アカウントは「@aiko_dochibi」。これは自虐なんかではない。「で、何か問題でも?」という話。社会が、世の中が、無言のうちに押し付けるステレオタイプなんてクソ食らえなんです。モデルに囲まれた元AKB48板野友美が公開処刑とか、下らないこと言ってんじゃねえ。ともちん、馬鹿にすんなよ。

というわけで、ここ日本よりもよりステレオタイプな美を強要されるだろうアメリカのポップ・シーンの中で、若干22歳のアリアナちゃんが何かしらの期待に応えながら、自分自身であること――エンターテイメント業界で否応なく女性が取り込まれるアンビヴァレンスの中で、どんな風に奮闘しているのか。彼女は果たして我らがニッキー・ミナージュのようにどこまでもキュート、かつ個性的、かつ強くなれるのか。是非とも見届けて下さい。ほら、彼女は頑張ってる。このステージ上の姿を見て、女性の敵だなんて俺の口からは口が裂けても言えないのです。

Best Mistake (Live on the Honda Stage at the iHeartRadio Theater LA)

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9)東京と大阪どちらのスロットを見ても、アリアナちゃんの裏はしょぼいから

酷いな、これも。でも、東京なら、言うても対抗馬はザップとジョン・スペンサー・ブルーズ・エクスプロージョン、斉藤和義でしょ。でも、ハシゴも可能と言えば、可能。大阪なら、裏はマリリン・マンソンでしょ。正直、アリアナちゃんの勝ちやんけ。と70年代の大阪弁で。確かにマリリン・マンソンは脅威かもしれない。全盛期の90年代半ばには誰もが驚愕した竹馬パフォーマンスを越える何かしらの秘密兵器を用意してるかもしれない。え? 竹馬パフォーマンス、知らない? じゃあ、以下に貼っておきます。大阪の皆さん、どちらを観るのが得か、自分の目と耳で判断して下さい。

Marilyn Manson / The Beautiful People

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というわけで、何故、今年の〈サマソニ〉で、アリアナちゃんを観なければ、一生の損なのか? その10の理由も次で最後です。びっくりすんなよ!


10)取りあえず10の理由を挙げないと、この記事がしまらないから

いや、勿論、他にも書くことはあった。映画好きなら、『ハンガー・ゲーム』サントラに収録されたメジャー・レイザーの“オール・マイ・ラヴ”もセットリストに入ってますよ、お楽しみに。くらいのことを書くのは朝飯前だ。だが、しかし、やっぱりオチがないとしまらないじゃないですか。それゆえ、ボケたなり。それに“オール・マイ・ラヴ”のいい映像が見当たらなかったんですよ。というわけで、最後にこちらの映像を貼っておきます。是非とも最高の夏をお過ごし下さいませ。

Problem~Bang Bang~Break Free (Live on X Factor Australia 2014)

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「必読必勝総力特集:
〈サマーソニック2015〉
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