>>>2016年のベスト・アルバム5枚
>>>2016年のベスト・ソング5曲
この年明け早々に発売された『ラップ・イヤー・ブック』の翻訳(二段組でびっしり200ページほど)作業に費やした時間が、予想外に多かったこともあり、2016年は、ラップや凝った歌詞のないものを聴く機会が例年にも増して多かったような気がする。ここでは、2016年リリース作品から、〈サイン・マガジン〉に書いたり、ライナーノーツを担当したりした作品は、当然のことながら、相当聴き込んでいるので、それら以外で、パッと思いつく範囲でよく聴いたものを列挙。
となると、まずは、クリフ・マルティネスによる『ネオン・デーモン』のサントラ。イルミナティのイメージにもつながる三角形を強く意識したフレーム内の人物配置や鏡の多用と同等に、彼の音楽が完全に映画の一部と化しているのを思い知らされたのは9月だった。『オルフェ』のヨハン・ヨハンソンも、『メッセージ』や『ブレードランナー2049』といった映画のスコアでも知られている人だが、これはオリジナル作。ちなみに、もっと古い作品では、ボン・イヴェールとつながる創作面での着想も確認できる。
一方、ベスト・ソングのほうは、というか、これらが「ベスト」ソングにふさわしいのかと言われると、正直、即答できないけれど、アルバム『ドン・ラ・レジェンド』には英語でライムしている曲など皆無ないのに、〈コーチェラ〉出演が決まったぺーエヌエル(この人たちがフランスから出るのなら、〈コーチェラ〉には日本のKOHHも招んでほしかった)による、サビが、「ダー、ダー、ダー」あるいは「ガー、ガー、ガー、パー、パー、パー」にまで進化した???(勿論、無意味な言葉の羅列ではない)“ダー”を、2016年の1曲として挙げておきたい。そういった意味では(リアーナの)“ワーク”も同じタイプの曲ではあるけれど、主にサウンドクラウドで各種リミックス(ただし、今となってはきれいさっぱり削除済)をチェックしまくった結果、コレに。
〈サインマグ〉のライター陣が選ぶ、
2016年の私的ベスト・アルバム5枚
&ベスト・ソング5曲 by 宇野維正
2016年
年間ベスト・アルバム 75