映画とドラマでは2017年に日本公開されたものに限定したので、2位にジュリア・デュクルノーの『RAW』ではなく『メッセージ』が入りました。この1年以上もあるタイムラグ、どうにかしてほしい。
ということで本来はアメリカのブラックのドラマと、ヨーロッパの女性監督作品に目の覚めるような新しさ、ユニークさを感じた年。自分の中でも視点の転換がありました。そのあとでは「上からの物言い」が気になってしょうがない。今だと、SWのレイやローズに対する不当なイチャモンとかね。全員に『アトランタ』を強制視聴させたいです。
あと日本では「フェミニスト」という言葉にまだ堅苦しさがあるようですが、“ボーイズ”のMV観てもそうなんでしょうか。これも従来のマッチョな「男視線」を反転しつつ、「ボーイズってなんてセクシーなの!」ってところに着地したところが素晴らしい。
音楽面ではアルバムをほぼまったく聴かず、ポップ・ソング一辺倒で、主な情報ソースはSpotifyのプレイリスト(『インセキュア』のリストにもお世話になりました)、という浅薄でランダムなリスナーになってしまいました。でも曲単位ではグローバルな動きを感じられてよかった。“デスパシート”がアルゼンチンのクラブ、サン・ロレンソの替え歌チャントになり、南米から欧州に渡って「世界のサッカー・スタジアムでもっとも歌われた歌」になった、とかね。その動きにいち早く乗ったサッカー・ファン、ビーバーもすごい。まあどんなきっかけでもいいから、とにかく日本も狭苦しいエスタブリッシュメント思考から抜け出さないと、何もかも貧しくなる一方だと思います。2018年はもいっかい、スペイン語を勉強します。
〈サインマグ〉のライター陣が選ぶ、
2017年のベスト・アルバム、ソング
&映画/ドラマ5選 by 渡辺志保
「サイン・マガジンのライター陣が選ぶ
2017年の年間ベスト・アルバム/
ソング/ムービー/TVドラマ5選」
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「2017年 年間ベスト・アルバム 50」
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