アルバムの個人ベストは他媒体で発表したので、ここでは国内アーティスト限定で選んだ。意図せずして個人名義のタイトルが並んだのは、「We」ではなくて「I」で語る人に惹かれてきたことの表れかも。フランク・オーシャン『ブロンド』とかジェイムス・ブレイクの1作目といった2010年代以降の歴史的傑作の影響を内面化させた、パーソナルな作品が日本から生まれたことに希望を感じた。
曽我部恵一が年末に突如発表したアルバムは、全編ラップというのもさることながら、サンプル主体のオールドスクールな作りとサウンド全体のざらついた手触りに、アール・スウェットシャツ最新作と重なるものを感じた。北米メインストリームの活況が続く一方で、勘が鋭い人は今またアンダーグラウンドに目を向け始めている。
ベスト・ソング1位のThe 1975は思いっきり「We」と歌っているけど、別にこれは例外でもなんでもなく、自分自身がこの時代の当事者であることを踏まえた最高のソーシャル・アンセム。
映像作品については旧作も含めて例年以上にたくさん映画/ドラマ/アニメを観た一方で、とにかく『テラスハウス』に夢中だった。これについては書き出すとキリがないし、出来れば観ている人と直接感想を語り合いたい。
最後に、年明けに発表されたさかなの活動終了が、本当に悲しい。今はまだ喪失感から抜け出せないけど、もちろんこれからもポコペンさんと西脇さんの活動を追っていきたいと思っている。
〈サインマグ〉のライター陣が選ぶ、
2018年のベスト・アルバム、ソング
&映画/ドラマ5選 by 磯部涼
「〈サインマグ〉のライター陣が選ぶ、
2018年の年間ベスト・アルバム、
ソング、映画/TVドラマ 5選」
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「2018年 年間ベスト・アルバム 50」
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