SIGN OF THE DAY

チャンス・ザ・ラッパーが先導する「新しい
シカゴ」は如何に生まれたのか?その変遷を
紐解くシカゴ年表③「2015年編」
by AKIHIRO AOYAMA January 16, 2018
チャンス・ザ・ラッパーが先導する「新しい<br />
シカゴ」は如何に生まれたのか?その変遷を<br />
紐解くシカゴ年表③「2015年編」

チャンス・ザ・ラッパーが先導する「新しい
シカゴ」は如何に生まれたのか?その変遷を
紐解くシカゴ年表①「2011~2013年編」


チャンス・ザ・ラッパーが先導する「新しい
シカゴ」は如何に生まれたのか?その変遷を
紐解くシカゴ年表②「2014年編」


地元へと戻ったチャンス・ザ・ラッパーは、『アシッド・ラップ』以降に得た知名度を活用して、シカゴを盛り上げるための活動をいよいよ本格化させていく。〈セイヴ・マネー〉、ソーシャル・エクスペリメント周辺人脈のフックアップに、シカゴ内外の有名アーティストとの共演・コラボレーション。主にティーンを対象とした無料イベントの開催。音源の無料ダウンロード公開。あえてレーベルと契約せずインディペンデントに活動する道を選んだことで、彼の行動は制限なく自由に広がり、それが徐々にシカゴのイメージ改善にも繋がっていった。




>>>2015年1月
〈フォーブス〉誌が毎年発表している、30歳未満で影響力を持つ人物のリスト「フォーブス20 アンダー30」の音楽部門にチャンス・ザ・ラッパーが選ばれる。世界有数の経済誌として知られる〈フォーブス〉は、世界長者番付をはじめ、様々な角度から「時の人」を取り上げるランキングを毎年発表している。


>>>2015年4月
チャンス・ザ・ラッパーがハーヴァード大学のヒップホップ・アーカイヴ&リサーチ・インスティテュートで特別講義を行う。ヒップホップにおけるミソロジーや暴力、ジェイ・Zと〈タイダル〉、カニエ・ウェスト等について語る。シカゴとドリル・シーン、ヒップホップと暴力については、このように話している。「暴力は音楽から生まれるものではない。そんなのはバカらしいし正しいことじゃない。でも、特にヴァイラルなレベルでは音楽が影響を与える可能性もある。それでもヒップホップが暴力を引き起こすなんて言っている人たちはファックだけどね」


>>>2015年4月
トーキョーがミックステープ『ワヴ・セオリー』を公開。〈セイヴ・マネー〉のメンバーであるトーキョーにとって初のフル・レングス作品となった同作には、チャンス・ザ・ラッパー、ヴィック・メンサ、ドニー・トランペットらがゲストとして参加。ソーシャル・エクスペリメント、キャム・オビ、ネイト・フォックス、ノックス・フォーチュンら〈セイヴ・マネー〉周辺ではお馴染みの面々が集う一方で、ケイトラナダやリドなど、後にブレイクを果たす海外のプロデューサーもプロダクションに名を連ねていた。

Towkio / .WAV Theory



>>>2015年5月
ドニー・トランペット&ザ・ソーシャル・エクスペリメントのミックステープ『サーフ』がリリース。初週はiTunes限定のフリー・ダウンロード形式が取られ、618,000ダウンロードされた。これまで、チャンス・ザ・ラッパー関連の音源発表にはSoundCloudやDatPiffが利用されてきたが、アップル社を通して発表されるのは今作が初の試みとなった。ジャミーラ・ウッズ、ノーネーム、ジョーイ・パープといったシカゴ人脈の他、ジャネル・モネイ、ビッグ・ショーン、J・コール、クエヴォ(ミーゴス)、バスタ・ライムズ、エリカ・バドゥら、そうそうたる面々が参加。

Donnie Trumpet & The Social Experiment / Surf

Donnie Trumpet & The Social Experiment / Surf 合評


>>>2015年5月
チャンス・ザ・ラッパーがホストを務める高校生限定のオープン・マイク・イベントに、サプライズ・ゲストとしてカニエ・ウェストとヴィック・メンサが登場。カニエ・ウェストはかねてからチャンスが影響を受けたと公言してきたシカゴ出身の先輩アーティストであり、2014年に実際に知り合ってから親交を深めていると伝えられていたが、ステージ上での共演はこのイベントが初となった。


>>>2015年6月
〈ボナルー〉のアース・ウィンド&ファイア出演ステージで、チャンス・ザ・ラッパーがケンドリック・ラマーと共演。その2週間後、チャンスがキュレーターを務めたシカゴの十代向け無料フェス〈ティーンズ・イン・ザ・パーク〉にもケンドリックが参加。ケンドリック・ラマーは3月に2015年を代表する傑作『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』を上梓したばかりで、〈ティーンズ・イン・ザ・パーク〉は二日後に地元LAでの凱旋ライヴを控え多忙な中でのサプライズ登場となった。

Earth Wind & Fire w/ Kendrick Lamar and Chance The Rapper

Teens In The Park 2015 in Chicago



>>>2015年8月
チャンス・ザ・ラッパーがリル・Bとの共作ミックステープ『フリー(ベースド・フリースタイル・ミックステープ)』を公開。カリフォルニア州バークレー出身のリル・Bは、2000年代後半からインターネットを通じて多数のフリー音源を発表してきた、ミックステープ全盛時代の先駆けとも言えるラッパー。多作ぶりでも知られ、過去10年の間に発表したアルバム、EP、ミックステープの数は大小含め60作品以上にも上る。今作は二人のフリースタイルを元にした作品となっており、チャンスにとっては初の共作名義でのコラボ作品となった。

Lil B x Chance The Rapper / Free (BASED FREESTYLE MIXTAPE)



>>>2015年9月
十代の黒人少年ラクアン・マクドナルドがシカゴ警察に16回撃たれて射殺される事件が発生。後に、ヴィック・メンサはこの事件を題材にした“16・ショッツ”という楽曲を作成している(『ゼアズ・ア・ロット・ゴーイング・オン』に収録)。

Vic Mensa / 16 Shots



>>>2015年10月
チャンス・ザ・ラッパーがメトロ・ブーミン、ドラム、トーキョーと共に全米28カ所を回るツアー〈ファミリー・マターズ・ツアー〉を開催。メトロ・ブーミンは2017年にミーゴス“バッド・アンド・ブージー”やフューチャー“マスク・オフ”といった大ヒット曲を生み出し、現USヒップホップ・シーン最高峰のヒットメイカーとなっているプロデューサー。ドラムは後にチャンスやリル・ヨッティとのコラボで名を上げることになるラッパー/シンガー。2015年当時は最初のEPに収録された“チャ・チャ”がヴァイラル・ヒットとなっていた。ちなみに、チャンス・ザ・ラッパーの公式通販サイトでは、現在でも当時のポスターが購入可能となっている。


>>>2015年12月
チャンス・ザ・ラッパーが〈サタデー・ナイト・ライヴ〉に出演。“サンデイ・キャンディ”のパフォーマンス中に、ラクアン・マクドナルドの射殺事件について言及。また、同番組では当時未発表の“サムウェア・イン・パラダイス”も披露された。R・ケリーとジェレマイという、世代の異なるシカゴ出身R&Bシンガーをフィーチャーした同曲は、番組放送後オフィシャルに発表された。

Chance The Rapper / Somewhere in Paradise feat. Jeremih & R. Kelly



>>>2015年12月
シカゴを題材にしたスパイク・リー監督作品『シャイラク』が公開。チャンス・ザ・ラッパーは同作について、「搾取的で問題がある」と批判。その後、ジャミーラ・ウッズの楽曲“LSD”のゲスト・ヴァースにおいても、チャンス・ザ・ラッパーは「これは〈ヴァイス〉のドキュメンタリー用でもなければ、スパイクのオープニング用でもない」と批判的に言及している。

Chi-Raq Trailer



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