SIGN OF THE DAY

「東京インディ最大の伏兵」の汚名は返上!
時代を超え荘厳に鳴り響く一大SF黙示録、
ROTH BART BARON驚愕の新作『ATOM』
by YOSHIHARU KOBAYASHI October 15, 2015
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「東京インディ最大の伏兵」の汚名は返上!<br />
時代を超え荘厳に鳴り響く一大SF黙示録、<br />
ROTH BART BARON驚愕の新作『ATOM』

今の時代は、本当にオリジナルな音楽ほど発見されにくい。そんな風に思いませんか? ある特定のシーンやコミュニティのトーン&マナーにぴったりとフィットした音楽――つまり、「インディR&B」や「インダストリアル」、あるいは「シティ・ポップ」といったタグ付けが容易に出来る音楽――じゃないと、いとも簡単に見過ごされてしまいがちです。そう、例えば、森は生きているの傑作2nd『グッド・ナイト』が、最早「シティ・ポップ」の文脈からは完全にはみだしているが故に、どこか見過ごされてしまった印象があるように。

勿論、こういった状況は昔から変わっていない。とも言えます。でも、ネット/SNS/キュレーション・サービスなどが「未知なるものとの出会い」よりも趣味趣向によるセグメント化とコミュニティの濃密化を助長している影響もあるのか、昨今はこの傾向がさらに進みつつあるようにも思うのです。

三船雅也と中原鉄也からなるロット・バルト・バロンは、まさにそんな「あまりにオリジナルであるが故に見過ごされている」アーティストだと言えるでしょう。ご存知の方も多い通り、彼らはいわゆる東京インディの一角と目されていたバンド。ボン・イヴェールを始めとしたUSインディの反響が感じられる音楽性からしても、その見立ては決して見当外れだったわけではありません。しかし、彼らはそこに収まり切らない音楽性と世界観、そしてポテンシャルを確実に持っています。

ROTH BART BARON / The Ice Age Tour 2014 “NorthAmerica”


ロット・バルト・バロンを大きく特徴づけているのは、聖歌隊のような清らかさを感じさせる三船の伸びやかな歌唱と、そのリリックの世界観。1stアルバム『ロットバルトバロンの氷河期』のモチーフが「氷河期」だったことが象徴的なように、彼の綴る言葉には、どこか現代社会に対する居心地の悪さとそこからの逃避願望が込められているように感じられます。1st収録曲である“氷河期#2(Monster)”の言葉を借りれば、「こんな場所で生きていたくないし/こんな場所で死にたくもない」――といったように。

三船の書くリリックが、どれも「こんな場所」から半歩浮遊したファンタジックなストーリーを持っているのも、おそらくはそういったメンタリティと無関係ではないはず。そして、それは、たかだか数十年の歴史しか持たない「現代=こんな場所」のポップ・ミュージックの形式から時にはみ出し、中世の交響楽団や宗教音楽、あるいは戦前のフォーク・ミュージックなどを想起させる彼らの音楽性とも緩やかにリンクするものでしょう。

ROTH BART BARON / 氷河期#2(Monster)

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そう、ロット・バルト・バロンは、その音楽性にしても世界観にしても、破格のスケールを持った存在。そして、1stから1年半の時を経て届けられる新作『ATOM』は、これまで以上にとんでもないことになっています。まずは先日公開されたティーザーをどうぞ。これだけでも、一皮も二皮も剥けた新作のすごさが伝わってくるのではないでしょうか。

ROTH BART BARON / ATOM introduction

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ここで簡単に新作の情報を整理しておきましょう。今回のアルバムは、ゴッドスピード・ユー!・ブラック・エンペラーのマウロ・ペッツェントが所有するモントリオールのスタジオ、〈ホテル2タンゴ〉で主にレコーディングとマスタリングを敢行。ロットは観る者すべてを虜にする圧倒的なライヴ・バンドでもありますが、本作にはそのライヴを共に作り上げているメンバーは勿論、〈ホテル2タンゴ〉周りの海外ミュージシャンたちも参加しています。

ちなみに、モントリオールでのレコーディング風景は、『ATOM』の特設サイトにて公開中。セッションの様子を中心に多数の動画がアップされていますが、ここにも一つ貼っておきましょう。これは360度パノラマ動画なので、スマートホンの向きを変えるとそれに合わせて映像のアングルが変わります。PCで見る場合は、グーグル・クロームを使ってくださいね。

ROTH BART BARON / SESSION1

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さて、そうして出来上がった『ATOM』は、当初から彼らが持っていた独創的な音楽性と世界観はそのままに、より緻密で壮大になり、目を見張るほど完成度を増した作品です。エレクトロニックな質感が強くなったのも特徴の一つですが、それによって、19世紀の音楽にも近未来の音楽にも聴こえるような、より「今」という時代性に捉われないサウンドへと羽ばたいたと言えるでしょう。その圧倒的な成長は、本日MVが公開されたばかりの新曲“bIg HOPe”を聴いてもわかるはず。これも360度パノラマ動画になっています。

ROTH BART BARON / bIg HOPe

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ロット・バルト・バロンは、シティ・ポップのファン向けだとか、USインディ愛好家向けだとか、そのような安易なレッテル付けを許しません。彼らの音楽はそんなちっぽけなものではない。時には歴史の地層を奥深くから掘り返し、時にはファンタジックな想像力を駆使することによって、「こんな場所」からの跳躍へとリスナーを誘う音楽――そんな風に言えるのではないでしょうか。

『ATOM』のリリースは10月21日。本日10月15日から一週間限定でアルバムのフル・ストリーミングも開始されています。彼らが本当に破格のポテンシャルを秘めた存在なのか、是非あなた自身の耳で確かめてみてください。

ROTH BART BARON / ATOM (Full Album Stream)

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「サザン、セカオワの次の国民的バンドって、
実はROTH BART BARONなんじゃ?
孤高の小さな巨人を紐解く10の特徴:前編」
はこちら


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