よく聴き、よく観て、よく書き、よく喋り、よく読み、たまに踊った1年だった。どのリストもこぼれた作品への思いが大きく、不完全燃焼。たとえば、アルバム。デンゼル・カリー、ビリー・ウッズ、JID、Nas、ヴィンス、コンウェイ、アール、スティーヴにハリー、リル・シルヴァ、ラッキー・デー、メアリー様、ケラーニ、ヤヤ・ベイ、アリ、エラ、リナ、テイラー、アンバー、シャイガール、FKAツィッグス、リゾ、ムーンチャイルド、けっこう好きなブラック・ミディ。おっと忘れちゃいけないザ・ウィークエンド。これらの候補作品をインプットだとしたら、書く量と喋る量のアウトプットが追いつかなかった1年でもあった。アフロビーツとレゲトンもよく聴いた。アフロビーツはアルバム単位で評価できるほど聴き分けられていないのだが、ウィズキッドとレマがお気に入り。『ブラックパンサー:ワカンダ・フォーエバー』のサントラのおかげで、だいぶ耳が肥えた気はします。ベスト・アルバムに入れた作品はすべて、アフロビーツの要素が入っている点は指摘したい。
映像作品は『スモール・アックス』シリーズと、『バビロン』(英1980)をまとめて観られていろいろと腑に落ちた。幻の名作の初公開では、『WANSA/ワンダ』(米1970)も衝撃だった。大作映画の仕事ができたのは光栄だったが、『RRR』(大作ではあるけど)や『チタン』といったぶっとび(トンチキ)映画をもともと好むので、今後はトンチキ映画の魅力について発信しようと思う。邦画では『ちょっと思い出しただけ』と、穴が目立つものの『さがす』が心に残った。韓国映画、ドラマもよく観たが、ボリュームが多すぎて個々の名場面、名セリフを心に刻む余裕がないのが残念。来年はペースを落としたほうが、かえって理解が深まるかもしれない。
最後に。〈サイン・マガジン〉のチームとは1年8カ月くらいと、実はつきあいが浅いのだが、頻度というか密度が濃かった。本来、足場であるべき文章媒体がなくなるのは「むうぅぅぅ」という感想です。全体にハイブローな文章が多いので、思い切ってセミアニュアルか年刊の紙媒体に戻るのも一つの手かもしれません。なぜかジャマイカ流でご挨拶を。Give Thanks.
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2022年
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