JUN「これはマンチェっぽくてかっこいい。ベースの音は今っぽくて、ベース・ミュージックっぽい音なんだけど、やってることはマンチェ感があると思う」
Ali&「ハッピー・マンデーズをアップデートした感じだね」
JUN「僕としては、“Something In The Way”はマンチェっぽいアレンジにしようとしていて。コード感がそうだったから。結局は、そうなってないんだけどね」
Ali&「僕がベックにしちゃったから」
JUN「あれ、ベックにしないで仕上げてたら、結構マンチェっぽいアレンジになってたと思う。ビート感も含めて」
Ali&「(田中宗一郎が解説者として出演していた)ベックの番組が、ちょうどアルバム制作中にオンエアだったんだよね。“Something In The Way”を作ってて、そろそろ終わりだ~、と思ってリヴィング行ったら、タナソウさんがベックのことを話してる番組がやってて、『やべえ! 超運命だ!』って思って」
●シンクロしたんだ(笑)。でも、Ali&くんが“Something In The Way”に入れたベックは、どの時期のベック?
Ali&「初期プラス中期なんだけど、そこに今流行ってるR&B感のあるビートを入れてみた感じ」
●具体的なアルバム名では?
Ali&「『シー・チェンジ』と、あと『モダン・ギルト』をめっちゃ聴いてて。いわゆるベックでダンス側じゃないやつ」
Ali&「あと、コーネリアスの『ファンタズマ』も影響受けてる」
JUN「サンプリングってところがね」
●“Something In The Way”は、90年代のサンプリング・ミュージックに影響を受けた部分もある?
Ali&「うん。で、ベックで言えば、そこは『オディレイ』」
●いろんな時期のベックが入り混じってるんだ?
Ali&「“Something In The Way”は、今っぽい音楽と、ベックっていうアーティストのフィルターを通して作った曲、って感じかな。まあ、(“Something In The Way”でシンガーのカズキが歌っている)バーサーカー・チルドレン・クラブは今、マンチェのエッセンスが強いから、それにそのまま乗っからないで、逆のベックだったりUSのサンプリング的な部分を乗せたって感じかもしれないね。どうしてもこいつらが歌ったらマンチェっぽくなるし、そうしたらすんなり行くんだろうなってことはわかってたから、そうじゃない方向で、ベックだったっていう」
JUN「これ、いいと思うんだよ。フレンチ・ハウスの名盤じゃないですか」
●スターダストの“ミュージック・サウンズ・ベター・ウィズ・ユー”をはじめ、アラン・ブラクスのベスト・ワークを集めたコンピ盤ね。2005年リリースだけど、古いのも結構入ってる。
JUN「こういうのは元々好きだったし、普遍性があるよね」
●“I Got a Feeling”なんて、結構モロでしょ?
JUN「そこは言わずもがな、でしょ。そこまで“ミュージック・サウンズ~”を意識したわけじゃないけど」
JUN「あと、“I Got a Feeling”は、元々歌入れようと思って作ってないんだよね」
Ali&「あれだけで終わってたもんね」
JUN「それはそれでよかったんだけど。ベンジャミンは歌のキャラが強い(笑)」
Ali&「でも、いいよ。歌の力で広い人に届けられると思うから」
●この辺の音は最近また聴いてたわけ?
JUN「そうだね。ちょっと前に、アラン・ブラクスとか聴き直したりして。98年くらいのああいうダフト・パンクの“ワン・モア・タイム”以前のフレンチ・ハウスは、結構テクノっぽいっていうか、デトロイトっぽいっていうか」
Ali&「ああ、キックとかね」
JUN「そう、アメリカのデトロイトとかシカゴとか、ああいうところから派生してフランス人がやった、って感じじゃん? サンプラーで作ったりとかしてて、音もザラっとしてて、ちょっとプリミティヴな感じがあって」
Ali&「最近出てるしね、そういうの」
JUN「90年代頭のテクノからの、みたいなところでしょ? そういう流れからフランスに渡って、っていうのがちょっと面白いかな、っていうので取り入れた。アラン・ブラクスは、コード感が綺麗なのもいいよね」
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