個人的には今年もアトランタを訪れることが出来てとても満足な気持ちです。ミーゴスとフューチャーの選出理由はそれに尽きる。そして、これは映像作品群にも言えることですが、去年のビヨンセ&ソランジュ作品から引き続き、今年も女性アーティストの作品に非常に元気づけられ、勇気をもらった年でもありました。楽曲プラスSNSを中心として気風のいいお騒がせっぷりで楽しませてくれたカーディ・B、自分の言葉で女性特有のモヤモヤを歌ってくれたSZAには心からお礼を言いたいほどです。私の気持ちに寄り添ってくれてありがとう。きっと同じように思っている女性リスナー(もしくは女性の心を持ったリスナー)は、世界中にたくさんいるのではないかしら。
5曲目はプエルトリコの新鋭MCによる1曲。Apple Musicの〈Beats 1〉で初めて知り、これをきっかけにプエルトリコ産のラテン・トラップや進化系レゲトンをディグるきっかけにもなりました。渋谷や六本木のクラブでもこのあたりのラテン・ビートが掛かるようになって来ているし、2018年はラテン・トラップがもっと元気になると思っています。
2017年はますますApple Music、Spotifyを駆使して音楽を聴くことが増え、とくにSpotifyのプレイリストは私にとって永遠に終わらない宝探しのようなものでした。加えて、先述したApple Musicの〈Beats 1〉(とくにDJエブロの番組)でジェネラルな新譜情報を補完する、というのが、すっかりデイリーの音楽の聴き方に。ヒップホップは新しさを更新していくことに重きを置いた、とてもイノヴェイティヴな音楽。来年も、思いっきり楽しませてもらいたいです。
思わずイッサ・レイの虜になってしまう『インセキュア』、すべてのセリフをメモしたくなるほどの内容でした。1から4の作品はすべてドラマ作品。作り手と物語の主人公の距離が近く、それだけ濃い物語(なかばドキュメンタリー的な)が描かれていたのが印象的でした。その点でいうと、スパイク・リーの『シーズ・ゴッタ・ハヴ・イット』は監督と主人公の距離感に乖離が生じていたためか、結果、すこし物足りなかったかなあ、という印象です。
1から3の作品は、何よりイマのヒップホップやR&B作品が非常に効果的に差し込まれており、どれもSpotifyのオフィシャル・プレイリストと併せて楽しんだ作品ばかり。ドナルド・グローヴァーとヒロ・ムライによる『アトランタ』、ジャスティン・シミエン、ティナ・マブリー(彼女は気鋭の女性映像作家!)、そして『ムーンライト』で脚光を浴びたバリー・ジェンキンスらがメガホンを撮った『ディア・ホワイト・ピープル』は、生き生きとした登場人物の描写に加えて、現代ならではの細かい細工(インスタにタグ付けして交際相手がバレてしまったり、泥酔して失くした記憶をスナチャで確認したりするなどのシーン)も非常に鮮明で、そうした部分も一つ一つ楽しめました。
『オレンジ・イズ・ザ・ニュー・ブラック』と映画『ドリーム』は言わずもがな、女性として勇気をもらった作品です。次点としては、リアルタイムで観ることが出来なかったので上位5位には入れなかった『ハウ・トゥ・ゲット・アウェイ・ウィズ・マーダー』を! ヴァイオラ・デイヴィスのすさまじい演技がとにかく印象的でした。音楽作品と同じく、映像作品もまた、NetflixやHuluなどのサブスクリプション・サーヴィスに非常にお世話になった2017年でした。
〈サインマグ〉のライター陣が選ぶ、
2017年のベスト・アルバム、ソング
&映画/ドラマ5選 by 青山晃大
「サイン・マガジンのライター陣が選ぶ
2017年の年間ベスト・アルバム/
ソング/ムービー/TVドラマ5選」
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「2017年 年間ベスト・アルバム 50」
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