モグワイのライヴがよくなかったって話はほとんど聞いたことない。もう10年以上ライヴは観てないけど、初来日の渋谷クアトロしかり、2000年の〈フジ・ロック〉しかり、それは本当に凄まじかったと記憶している。今年出た新作『レイヴ・テープス』ではアナログ・シンセを全面的に導入し、マニュエル・ゲッチングもかくやたるコズミック感覚~アンビエント/ミニマルへの傾倒を披露したモグワイだけど、ライヴではハードコア・ウィル・ネヴァー・ダイな爆音ホワイト・ノイズは今も健在(なはず)。90年代にグラスゴー政府の夜間外出禁止令に反対するメッセージを掲げたモグワイが、今回東京では深夜のステージに出演するというのもなんとも。
ホラーズって正直、個人的な関心はそれほどでもないバンドだったのだけど、今年の春に新作『ルミナス』のプロモ来日で話を聞いたら、裸のラリーズの大ファンでジャプ・ロックに造詣が深そうだったり、最近はロンドンでサーストン・ムーアと共演したりとかで、「おっ!」みたいな。せっかくなので、これを機にしっかりとライヴを観たい。
こんな企画でもなければ見落とすところだったかも。〈サマソニ〉といえばUS/UKの有望新人バンドを引っ張ってくることで定評あり。で、今年は英国勢に押され気味か?と思ったら、いたよ楽しみなアメリカの若手が。双子のリズム隊を含むシカゴの5人組で、まだ高校を卒業したての全員10代。が、昨年〈ロラパルーザ〉に出演を果たし、今年2月にはアークティック・モンキーズのUSツアーにサポート・アクトとして帯同したとか。ヴォーカルのルックスはなんだかグランジ風情だが、サウンドの方はいたってラフ&ストレートなガレージ・ロック。そして、今月リリースされるデビュー・アルバムをTV・オン・ザ・レディオのデイヴ・シーテックがプロデュース、ってところが個人的に引かれた最大のポイント。まずは、観てみたい。
前の記事で天野くんは「アクチャリティ」と書いていたけど、いま現在のピクシーズのライヴを観る意義があるとするなら、それは言うまでもなく、23年ぶりにオリジナル・アルバムがリリースされた、という事実の一点にしかない。なにしろ、彼らは再結成からこの10年近く、言い方は悪いが、過去の遺産だけで世界中を稼ぎ回っていたのだから。もっとも、自分はそれを否定しないし、日本での再結成お披露目となった2004年の〈フジ・ロック〉のステージには大いに感動させられた。じゃあ、今度の新作がどうだったかと訊かれても、過去の5枚のアルバムと比べるとどうしたって心情的に入り込めない部分を否めないし、ライヴだって、やっぱりキム・ディールのいない“ギガンティック”は味気ないだろう。ただ、そんなリアクションなど百も承知で、苦渋の決断の末にメンバーを変えてまでも、ようやくアルバムを完成させた。そのね、バンドとしての今のテンションはいかほどか、っていう。
アンテマスク。早い話が、元マーズ・ヴォルタ。オマーとセドリック、そして現在はデリンジャー・エスケイプ・プランやマストドンやセパルトゥラのメンバーとバンドもやっているドラマーの3人組で、音源ではレッチリのフリーがベースを弾いているという強力ユニットだ。マーズ・ヴォルタの変態的なハードロック~プログレッシヴ・サウンドとは変わり、既発曲の印象は、アット・ザ・ドライヴ・イン時代を彷彿させるハードコア・パンクだったり、ファンキーだったりアコースティックな歌物だったりとまちまち。で、先日リリースされたデビュー・アルバムを試聴しようとバンドキャンプを覗いたら……リンクが無くなっていたので、もしかしたらでっかい契約が決まったのかも。さすがに今回フリーが付いてくるということはないと思うけど、それでも十分プレミアムな本邦初披露ライヴ。ライヴ映像を探したけどなかったので、リハーサル風景を見て雰囲気を感じ取ってもらえれば。
サインマグの各ライター陣が本音で選んだ
〈サマーソニック〉お薦めアクト・トップ5
その⑥:キュレーション by 小林祥晴
はこちら。
「さて〈サマーソニック2014〉なんですが、
果たしてアークティック・モンキーズ以外に
見どころはあるのか? 検証してみますよ。」
はこちら。