SIGN OF THE DAY

大器現る?! ジェイク・バグに対する
アメリカ南部からの回答?
それともジャック・ホワイトの後継者?
君はベンジャミン・ブッカーを聴いたか?
by YOSHIHARU KOBAYASHI September 25, 2014
FIND IT AT :
Amazon MP3 & CD/iTunes Store
大器現る?! ジェイク・バグに対する<br />
アメリカ南部からの回答?<br />
それともジャック・ホワイトの後継者?<br />
君はベンジャミン・ブッカーを聴いたか?

どう考えても、ジェイク・バグに続くロックンロールの若きヒーローは彼でしょう。と、思わず飛ばし過ぎたことも書きたくなる。アメリカはニュー・オリンズからやってきたライジング・スター、ベンジャミン・ブッカーの爆裂ブルーズ・パンクに打ちのめされてしまうと。少なくとも、ストライプスのようなお子ちゃまでは足元にも及ばない。論より証拠。まずは聴いてみてほしい。デビュー・シングルの“ヴァイオレント・シヴァー”だけでも、彼が只者ではないことがわかるはずだ。

Benjamin Booker / Violent Shiver

FIND IT AT :
Amazon MP3 & CD/iTunes Store


チャック・ベリーかシスター・ロゼッタ・サープかという軽快でご機嫌なリフ。敬愛する盲目のブルーズ・マン、ブラインド・ウィリー・ジョンソン譲りのパワフルなダミ声。戦前のブルーズや50年代ロックンロールを主な参照点にしながらも、パンキッシュなスピード感と衝動性、そして現代的なミニマリズムを当たり前のように宿したサウンドは、凡百の新人バンドとは比べものにならない。今年7月にアップしていたこちらの記事で、『サイン・マガジン』が早くも彼のことを騒ぎ立てていたのも無理はないだろう。

勿論、ブッカーに熱狂したのは我々だけではない。ほとんどデモ音源に近い5曲入りのEP『ウェイティング・ワンズ』がきっかけとなったのか、イギリスでは〈ラフ・トレード〉、アメリカでは〈ATO〉が契約を締結。そして、“ヴァイオレント・シヴァー”が正式なデビュー・シングルとしてリリースされるや否や、アメリカの人気番組『レイト・ショー・ウィズ・デヴィッド・レターマン』に出演が決定してしまったのである。

Benjamin Booker / Violent Shiver (TV Performance)

FIND IT AT :
Amazon MP3 & CD/iTunes Store


今年7月には、ジャック・ホワイトの全米ツアーのサポート・アクトにも大抜擢。ブルーズやロックンロールのモダナイズに心血を注ぐジャックに目を掛けられたのは、その文脈を継ぐブッカーにとってこれ以上ないほど嬉しいお墨付きだと言える。実際、ジャックはブッカーの音楽的ヒーローの一人であるそうだ。

残念ながら、このツアー時のブッカーのライヴ映像が見つからなかったので、代わりに(と言ってはなんだが)同ツアーでのジャックのパフォーマンスを貼っておこう。この2組が一緒に観られるなんて、なんて贅沢なツアー!

Jack White / The Same Boy You've Always Known (live)


そして、ジャックとのツアー翌月には早くも届けられた1stアルバム『ベンジャミン・ブッカー』。ここには、なんとも痛快で小気味よいブルーズ・パンクが満載である。やや乱暴に位置づければ、ジェイク・バグがアメリカ南部の空気をたっぷりと胸に吸い込んだ感じ。といったところか。

60年代のロックンロール・バンドよろしく、わずか6日間で一気にレコーディングされただけあって、サウンドは粗削りで勢い重視。だが、それがデビュー作らしい衝動的な魅力に上手く転化されている。“ヴァイオレント・シヴァー”を筆頭に、“ハヴ・ユー・シーン・マイ・サン?”や“ウィックド・ウォーターズ”など、前のめりに転がっていくタイプのロックンロールは、もう完全にお手の物だ。

Benjamin Booker / Have You Seen My Son? (TV Performance)

FIND IT AT :
Amazon MP3 & CD/iTunes Store

Benjamin Booker / Wicked Waters (studio live)

FIND IT AT :
iTunes Store


一方、ロバート・ジョンソンを入り口にブルーズの世界にも深く分け入っただけあって、“スロウ・カミング”や“バイ・ザ・イヴニング”といった、よりブルージーで渋味を効かせたトラックも幾つか見受けられる。が、そのような曲でも最後には抑えきれないエナジーの爆発が刻まれているのは、処女作らしい微笑ましさかもしれない。

Benjamin Booker / By The Evening

FIND IT AT :
iTunes Store


粗削りだけどポテンシャルの塊。もしかしたら大器の予感。『ベンジャミン・ブッカー』はそんなアルバムである。なので、日本ではなんとなくスルーされつつあるのは、正直勿体ない。もっと騒がれてもいいのに。と感じているのだが、さてどうだろうか? 近々レヴューもアップする予定なので、そちらの評者達の意見も参考にしつつ、ぜひあなたの耳で確かめてほしい。


TAGS

MoreSIGN OF THE DAY

  • RELATED

    アークティック・モンキーズ待望の新作を<br />
徹底検証。これはラップ全盛の時代に対する<br />
「欧州のロック」という矜持からの回答か?

    May 11, 2018アークティック・モンキーズ待望の新作を
    徹底検証。これはラップ全盛の時代に対する
    「欧州のロック」という矜持からの回答か?

  • LATEST

    毎月25日前後に〈the sign podcast〉の<br />
新マーチを発売します。今回の新マーチの<br />
ご紹介と、今後の展望についてお話します

    November 30, 2021毎月25日前後に〈the sign podcast〉の
    新マーチを発売します。今回の新マーチの
    ご紹介と、今後の展望についてお話します

  • MOST VIEWED

    2013年 年間ベスト・アルバム<br />
11位~20位

    December 19, 20132013年 年間ベスト・アルバム
    11位~20位