〈フジロック〉のヘッドライナーにゴリラズ決まりましたね。中堅のスロットは充実しているのに、ヘッドライナーに関してはビョーク、エイフェックス・ツインと、クラブ系とは言え、去年と同じ90年代スター頼みかー、となっていたところに、遂に2010年代における世界的なビッグ・スター、ゴリラズが。狂喜乱舞した皆さんも少なくないと思います。
2010年代のポップ音楽における事件の大半はオンライン上に発火点を持っていると言っても過言ではありません。ただ、そうした注目すべきトピックは新たなトピックにあっという間に押し流されがち。見過ごしてしまっているトピックはありませんか?
今回〈サイン・マガジン〉が選んだトピックは4件。ゴリラズを含む3組は来日も決定。この中から2017年を象徴するライヴは生まれるや否や。本当はドレイクこそ観たいんですけどね。それぞれのトピックに対する編集部内での興奮と期待の度合いは5段階の★印で表示、その理由も添えてあります。それでは早速チェックしていきましょう。
1)新曲4曲同時公開! 新作『ヒューマンズ』リリースで世界一の英国バンドの称号はゴリラズのものになるか?
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注目度:★★★★★
レディオヘッドのように唯我独尊を貫くのでもなく、コールドプレイのようにUS市場に媚びまくるのでもなく、USヒップホップと英国産サウンドとのハイブリッドで世界を席巻したゴリラズ。この新作『ヒューマンズ』で遂に日本でもブラーを凌ぐことになるはずです。「なるのかな? なってほしいけど(田中)」「〈NME JAPAN〉の読者は無理なんじゃないですか(小林)」
皆さんもうご存知ですよね? デーモン・アルバーンとイラストレーターのジェイミー・ヒューレットを中心としたプロジェクト、ゴリラズが6年ぶりのニュー・アルバム『ヒューマンズ』を4月28日にリリースすることをアナウンス――しただけでなく、〈フジロック〉でヘッドライナーを務めることも発表されました。
ゴリラズ再始動の動きは2016年後半から顕在化。まず2016年9月にゴリラズのInstagram公式アカウントが開設。同年10月からは音とアニメとテキストを駆使した各メンバーの「マルチメディア・ストーリー」、そしてメンバーのキャラクターを反映させたプレイリストも発表。頑張ってます。
年明けにはベンジャミン・クレメンタインをフィーチャーした新曲“ハレルヤ・マネー”のMVを公開。これはトランプ・タワーのエレベーター内で撮影されたものらしく、新作はポリティカルな内容? との憶測も。
そして、デーモンの49回目の誕生日にあたる3月23日、遂に6年ぶりのニュー・アルバム『ヒューマンズ』のリリースを発表。と同時に、アルバムから一気に4曲のアニメーション・ヴィデオが公開されました。
このアルバムには、デ・ラ・ソウル、グレイス・ジョーンズ、ダニー・ブラウン、プシャ・T、ヴィンス・ステイプルズ、D.R.A.M.、ポップカーン、ノエル・ギャラガー、サヴェージズのジェニー・ベスなどがゲスト参加。この面子を見る限り、きっちりと2017年版にアップデートされたゴリラズが期待できそうですね。
2)ロンドンの今を鳴らすバンド、フォーメーションの東京公演は、90年代のように気軽に海外アクトが観られるようになるかどうかの試金石?
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注目度:★★★★
キャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメン? ブロッサムス? 英国インディ・バンド総崩れの時代にロンドンからはグライム勢のみならず、フォーメーションやビッグ・ムーンといった新世代のロック・バンドにも遂に注目が当たるようになりました。ここ数年、これほど旬なアーティストの来日はなかったのでは?「言いますねー(小林)」「だって、カサ○×△とか、ミュ○×とか、オア○×、スト○×・△○ーゼズとか、別にどうでもいいじゃんか(田中)」
地方の皆さん、ごめんなさい。ロンドンの今を象徴するもっとも旬なバンドの初来日だというのに今回も東京だけ。でも、せっかく公演が決まってもお客さん入らないんですよ、特に大阪。
ということで、フォーメーションの初来日公演は5月12日(金)に原宿〈アストロホール〉の一夜限り。でも、これが成功したら、次はもっと大きなツアーを組もうって気にもなってくれるでしょう。来日の詳細は公式サイトでチェック!
フォーメーションをもっと知りたい! という人はこちらの記事をどうぞ。
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英国ロックの伝統を今に受け継ぐ2017年の
『サンディニスタ!』?! フォーメーションは
グライム一強の英国を変える起爆剤たるか?
3)チック・チック・チック新作の最大のインスピレーションは、ドレイク新作が世界にその名を改めて知らしめたムーディーマン?
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注目度:★★★★
チックの新作には、最近のお気に入りだというニコラス・ジャーやケイトラナダ、そしてハウス・ミュージックの影響が取り入れられているそう。録音したライヴ演奏をカットアップしてビート・メイキングするという新たな方法を導入しています。「もう完全にチック・チック・チックに対する興味無くしてたでしょ?(田中)」「いやいや、スプーンのジム・イーノがプロデュースしたアルバムは最高だったじゃないですか(小林)」「それは前々作だよ!(田中)」
チック・チック・チックが通算7枚目となる新作『シェイク・ザ・シャダー』を5月19日にリリースすることをアナウンス。アルバムからの1stシングル“ジ・ワン・2”のMVを公開しています。
ちなみに、アルバム・タイトルの意味は「恐れを振り払え」。アートワークも強烈!
〈ソニックマニア〉での来日も大決定していますよ。
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〈ソニックマニア〉公式サイト
4)世界中で誰よりも聴かれてるNo.1アーティストと言えばドレイク。どこまで続く記録更新?
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注目度:★★★★
①「アルバム」ではなく「プレイリスト」という打ち出し方。②ブラック・コーヒーのような南アフリカ発のプロデューサー、スケプタやギグス、サンファといったUKグライム・シーンのMCやシンガーのフックアップ。③カニエ、ヤング・サグ、2チェインズを筆頭としたUSヒップホップ・アクトとの横綱相撲。④XXXテンタシオンからのフロウ盗用疑惑。⑤元彼女の二人、リアーナとジェニファー・ロペスの影を匂わすトピック。ドレイクの新作『モア・ライフ』は、作品というよりも口コミのネタをちりばめた新しい戦略商品です。「さすがに戦略商品っていう言い方ひどくない?(田中)」「いや、でも、そういうことしか考えてないでしょ(小林)」「でも、“パッションフルーツ”も“ゲット・イット・トゥギャザー”も超名曲じゃん!(田中)」
ドレイクが3月18日にリリースしたプレイリスト『モア・ライフ』が、ストリーミングの新記録を次々と樹立。
まずはリリース初日から新記録のニュースが続々と舞い込むことに。Apple Musicでは1日の再生回数で新記録樹立(8990万回)。Spotifyでも初日の再生回数(6130万回)、アーティスト単位での1日の再生回数(7640万回)で新記録を樹立しました。
もちろん、この作品は全米初登場1位を記録。初週の50万5000枚相当の売上のうち、25万7000枚分はストリーミングの再生回数からの換算。これで自身の前作『ヴューズ』を抜き、一週間のストリーミング回数でも新記録を樹立することになりました。
ちなみに、『モア・ライフ』はフィジカルCDとしてもリリースされる模様。日本のアマゾンでは輸入盤が3月31日に発売予定との情報が一時出ていましたが、いつの間にか消えていました。アメリカのアマゾンではフィジカルCDの情報は出ているものの、発売日はわかりませんね。この適当なところもいいんじゃないでしょうか。トラックリストがストリーミング版と一緒なのか違うのかも気になるところです。
この4組のリリースで北米インディ大復活?
ロンドンでもバンド・シーンが遂に活性化?
フランク・オーシャンが強力曲を突如発表!