ベスト・ソングはSpotifyの「Myトップソング2018」中の新曲のトップ曲。デュアさんの「possibilities」の発声聴きたさゆえに知らぬ間に再生回数増し増しだったのかも。2位の070・シェイクの曲は、彼女の心の内側からの視線が、彼女を取り巻く世の中の偏見や差別にも突き刺さって痛すぎる(のがエックスやリル・ピープを聴いてる時とは違う感じ)。3位はゴスペルのシングル。4位はベルギーの新人の第2弾曲。ハーモナイザー&ヴォコーダーを使いながら一方的に語りかける5位の“オー・スーパーマン”が1981年にUKで突如特大ヒットした当時は「現代アートの人のパフォーマンス」的印象が拭えなかったのに、それが急に「入ってきた」のは、映画『ブラックミラー バンダースナッチ』で耳にしたからだけでなく、オートチューンの超微調整に耳をそばだてているアーティストにまだまだ人気が集まる2018年だからかも?
既発曲といえば、ベスト・アルバムの4位はリマスタリング音源コンピ。ケイシー・マスグレイヴスのデビュー作愛聴者としては「疑問符」付きだった彼女の新作の替わりに聴いてたフシもある177曲入り。5位のオドゥンシはラゴスの、3位のアリーナ・バラズはクリーヴランドの、どちらもR&Bシンガーながら、「2018年らしい」R&Bシンガーとの絶妙なズレが心地良く耳を刺激。
ちなみに、アルバムと映画/TVドラマのベスト作品選出にダブりがあるのは、音楽アルバムとしての面白さが映像イメージから自律したところにあったからでしょう。4位はメキシコ映画の旧作で、ファム・ファタルに徹底的にやり込められ、1位と2位はもういろいろスゲえです。なおTVドラマの上位3作については新刊『ネットフリックス大解剖』で発表済みなので、よろしければそちらを(と宣伝)。最後に、2018年は自分が生まれて初めて出演者として携わった映画『大和(カリフォルニア)』が公開された年でした。
〈サインマグ〉のライター陣が選ぶ、
2018年のベスト・アルバム、ソング
&映画/ドラマ5選 by 木津毅
「〈サインマグ〉のライター陣が選ぶ、
2018年の年間ベスト・アルバム、
ソング、映画/TVドラマ 5選」
扉ページ
「2018年 年間ベスト・アルバム 50」
扉ページ