2021年は北米メインストリームが全ての中心だった2010年代というディケイドを経て、新たな時代の兆しが見え始めた一年だった。実際のところ、アメリカ以外、英語圏以外の優れた才能がこれまで以上に脚光を浴びるようになったのは誰もが感じていることだろう。ただそれはポップの現場がかつてないほど拡張しているということでもあり、個々のリスナーやオーディエンスが見ている光景はより一層バラバラになったとも言える。
また、ストリーミング以降、とりわけTikTok以降の「いつ、何が、どこからブレイクするか全く予想がつかない」という状況は、ヒット・チャートに過去の作品や作家やサウンドが不規則に蘇るという現象を加速させた。これも2021年を象徴する事象のひとつだったのは間違いない。
つまり、ポップ・ミュージックが地域性や歴史性という制約から解放され、中心を欠いたまますべてが拡張し続ける2020年代の扉が開いた――そんな風にこの一年を捉えることも出来るはずだ。そして、そのようなエキサイティングであると同時に混沌とした2021年を出来る限り客観的に見渡そうと努めたのが、我々が作った「年間ベスト・アルバム50」だった。
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2021年
年間ベスト・アルバム 50
では、この企画に参加してくれたライター諸氏はどのように2021年を見ていたのか? それを一人ずつ明らかにしていってもらうのが、毎年恒例の個人ベスト企画である。
選出項目は、①ベスト・アルバム、②ベスト・ソング、③ベスト映画/TVシリーズの3つのうち2項目以上。どの項目を選ぶかはライター各自に任せている。それぞれの声に耳をじっくりと傾けることによって、より広い視野で2021年を見渡すことが出来るだろう。そして、2022年を考える上での何かしらのヒントもそこから得ることが出来るはずだ。
辰巳JUNKの2021年ベスト
小林雅明の2021年ベスト
照沼健太の2021年ベスト
荏開津広の2021年ベスト
伏見瞬の2021年ベスト
池城美菜子の2021年ベスト
天野龍太郎の2021年ベスト
木津毅の2021年ベスト
宇野維正の2021年ベスト
磯部涼の2021年ベスト