SIGN OF THE DAY

<Ahhh Fresh!>第9回
ラップ/ヒップホップ定点観測 by 小林雅明
by MASAAKI KOBAYASHI November 08, 2017
<Ahhh Fresh!>第9回<br />
ラップ/ヒップホップ定点観測 by 小林雅明

1)
ズバリ、『マンブル・ラップ』(2017年10月6日)。そんなタイトルのミックステープが発表された。

Belly / Mumble Rap


主役は、カナダのパレスチナ系ラッパー、ベリー。ラッパーとしては10年ものキャリアがあるものの、〈XO〉と契約後は、ウィークエンドの『ビューティ・ビハインド・ザ・マッドネス』収録6曲の制作に関わったことで知られている。

昨年来、特定のラップ・スタイルのことではなく、例えば、ラップ界の世代間対立(断絶)だったり、ヒップホップとラップの対立だったり、話をそっちにもっていきたい場合に、「ダメなラップ」というのとほぼ同じニュアンスで使われているのが、この「マンブル・ラップ」という言い方だ(もっとも、ベリーの場合、「マンブル・ラップ」という言い方を好む連中に批判的な立場にあるだけで、彼自身のスタイルは、マンブル・ラップとは無関係。「マンブル・ラップと言ったら、真っ先に自分のこのミックステープを思い出してほしい」という便乗ぶりだ)。

例えば、ベテラン・ラップ・アーティストが、若手に対して、最近の若い者は……的な、否定もしくは否定寄りの文脈で使われている。とはいえ、古くは、昨年の夏のスヌープ・ドッグの発言のように(まあ、トレンドには敏感な人ではあるが)、自分たち世代とはスタイルがあからさまに違うことを強調しながらも、若い連中のオリジナリティは評価したい、というのもあるので、単純な世代間の断絶という話で括れるわけではない。



2)
アルバム『リル・パンプ』(2017年10月6日)でデビューした17歳のリル・パンプなどは、この4月に、ほぼ「ファック・ユー、Jコール」と繰り返すだけの曲の一部? と思しき映像を公開。

Lil Pump / Lil Pump

Lil Pump / Fuck J. Cole (snippet?)


その映像によれば、自分たちが演っているのを「マンブル・ラップ」呼ばわりし、それがラップをダメにしたと言われるのが心外。自分たちも、オールド・スクーラーも、どっちが上か下ではなく、共存してゆけばいいだけだと主張している。要は、コール当人へのディスというよりも、彼のスタイルを高評価するだけの価値基準にムカついたようだ。

なにせ、パンプお得意のラップ・スタイルは、件の映像やデビュー作からも明らかなように、シンプルなフレーズの反復(アルバムを1、2周聴くだけで、4、5個の頻出語に気付くはず)だ。ここには、傾聴/熟聴が求められるようなライム・スキームなどはない。例えば、収録曲の“グッチ・ギャング”をクラブやパーティの現場で聴いてみれば、彼の音楽は、(盛り)アがれるためのチャージャーであるのが、すぐわかるはず。頭ごなしに何かを否定することは、年長者だけの特権ではないし、世代が異なるアーティストの共存は、当然、求められてしかるべきものだろう。



3)
ちなみに、ここで2曲に参加し、昨年、パンプにレコーディング活動を勧めた、シカゴ生まれマイアミ育ちの20歳のスモークパープも、『リル・パンプ』の前の週に、〈インタースコープ〉傘下のレーベル〈アラモ〉と契約後初となるミックステープ『デッドスター』(2017年9月29日)を出している。

Smokepurpp / Deadstar


アートワークは、棺に収まったGG・アリン(リル・ウージー・ヴァートが、他のやり方で引用したのは、先月ここで書いた通り)の写真(に触発され、そ)の再現となっている。

サウンドとしては、あの『プレイボーイ・カーティ』の延長線上にあり、というか、パープ自身、元々プロデューサーとして音楽活動を始めた人だからか、結果的に『プレイボーイ…』収録曲をさらに洗練させたようなものが集められた印象だ。

また、カーティが、一時期のチーフ・キーフをラップ・スタイルの手本にしていると以前ここに書いたが、このパンプ、パープ、両者の作品とも、キーフがしっかりとフィーチュアされていて、2017年デビュー組にとっての彼の大きさが確認される(パンプは、キーフとリル・Bの影響下にあることを公言している)。



4)
そして、パンプが言っていた異世代共存、のかたちがはっきりと見える作品が、ここにきて(ようやく)登場した。パープの『デッドスター』でも客演しているジュージー・Jのミックステープ『ハイリー・イントキシケイテッド』(2017年9月18日)がそれだ。

Juicy J / Highly Intoxicated


現在42歳のジューシー・J(スリー・6・マフィアが結成されたのが1991年だから、例えば、ジェイ・Zがもうじき48歳で、カニエが40歳であることを考えあわせると、相当若い頃から本格的に活動していたことになる)が、一回り以上年下のニューオリンズのスーサイド・ボーイズ(SB)をエグゼクティヴ・プロデューサーとして抜擢し、その結果が想像していた以上にうまくいっている。

『ハイリー…』より一週間先に発表された、SBとしてのEPシリーズ『キル・ユアセルフ』の第16弾から第20弾(2017年9月11日)、計15曲で、ラップだけでなくサウンド・プロダクションもメインで担当するSBの片割れスクリムが、腕を上げていることを確認できた後に聴いた、ということもあるだろう。

$UICIDEBOY$ / Kill Yourself Part XVI: The Faded Stains Saga


また、ジューシーとしては、SBを自分たち(ジューシーのグループ、スリー・6・マフィア)の、単なるフォロワーとしてではなく、良き理解者(解釈者)として捉え、一方のSB側も、自分たちの世代なりの表現を通じて、ジューシーを盛り立てようとしているのが、一曲目の“イントロ”からも伝わってくる。



5)
また、スリー・6・マフィアの理解者(解釈者)という観点からいえば、ゴーストメインのアルバム『ヘクサーダ』(2017年9月5日)が、なかなか刺激的だった。

Ghostemane / Hexada


思えば、SBの音楽性に、デスコアとラップ、双方のリスナーを橋渡し的な感覚があるわけだが、これが、ゴーストメインになると、フロウのパターンあるいは悪魔主義的なリリックは、確かにスリー・6・マフィアのそれらとの重なりが聞き取れるものの、できあがったサウンド(彼自身、ギターとドラムをプレイする)は、時にグラインドコアやインダストリアルを嗜好する感覚を隠そうとはしないような面白さがある。いずれにせよ、ジューシー・J及びスリー・6・マフィアの作ってきた音楽には、まだまだ何かを生み出してくれる滋養が含まれているというわけだ。



6)
2017年9月は、特に狙いすましたわけではないのだろうが、実は、スリー・6・マフィア(ファミリー)月間と呼ぶのにふさわしい様相を呈していた。

SBの5連作の前の週(2017年9月8日)には、ジューシー・Jの実兄、プロジェクト・パットがアルバム『M.O.B』を(さらにそこから一か月も経たぬうちにミックステープ『トラッパーズ&クラッパーズ』を)、また、パットと同じ、スリー・6・マフィアの結成メンバー(にして、現在は、ジューシー以外のファミリー関連のプロジェクトであるダ・マフィア・シックスとしてであり、そのサウンドの要である)、DJポールも(シリーズ物としては、実に15年ぶりとなる)ソロ新作アルバム『アンダーグラウンド・ヴォリューム17:フォー・ダ・サマー』を発表(2017年9月15日)。

Project Pat / M.O.B.

DJ Paul / Underground, Vol. 17 - For da Summa


一時期EDMにも傾倒していたDJポールによる後者が、積極的に若手をフックアップし、マフィア作品で自分の生み出したサウンドがやたらとコピーされているが「まだ、一つだけコピーされてないドラム・パターンがある」と語るほどの余裕があるためなのか、ジューシーの『ハイリー~』に比べると、根本的には自分たちの過去作を丁寧になぞっているかのようだ。



7)
もっとも、こういう書き方をすると、否定的なニュアンスのほうが嗅ぎ取られてしまうかもしれない。ところが、彼らの過去作のヴァイブに完全に乗っかった曲が注目されたのも、この9月だった。ニューヨークはハーレムのエイサップ・ファーグの2作目のミックステープ『スティル・ストライヴィング』(2017年8月18日)の先行カットとして一度、さらに、9月に入ってからも、あらためてシングルとして(再)露出された“プレイン・ジェーン”がそれだ。

A$AP Ferg / Plain Jane


そこでは、マフィアが、自分たちの97年の“ティア・ダ・クラブアップ‘97”から名付けた、ティア・ダ・クラブアップ・サグス名義で出したアルバムにして、今でいう「トラップ」の起源というか、その源泉として聴くこともできる『クレイジーンダラスデイズ』収録曲“スロブ・オン・マイ・ノブ”でのジューシーのフロウをきれいになぞっている。

Tear Da Club Up Thugs / Slob on My Knob



この曲自体、マフィア及びジューシーのライヴの定番曲として昔からカルト的に支持されてきたという下地は確かにある。が、“プレイン・ジェーン”が、9月に入ってからシングルとして仕切り直され、再プッシュされると、これと、その元ネタ曲にあたる“スロブ~”を(特に有名ではないDJトミー・マデラが)続けてかけているだけの動画がTwitter上で1万リツイート以上された。その結果なのか、“スロブ~”のほうが、Apple Musicのトレンディング・ソングのトップに(長期間ではないにせよ)立つ、という全く予想外の展開に。



8)
奇しくも“プレイン・ジェーン”と全く同じタイミングで発表されたG・イージーの“ノー・リミット”もまた、“スロブ~”のフロウを借りている。さらに面白いのは、この曲の頭サビを担当しているのは、エイサップ・ファーグの仲間、エイサップ・ロッキーで、もう一人の客演者カーディ・Bになると、他の二人にも増して“スロブ~”のフロウに忠実なのだ。

G-Eazy / No Limit feat. A$AP Rocky, Cardi B





9)
カーディの“ボダック・イエロー”も、ちょうどこの時点で、全米ナンバー・ワンは、もはや射程距離内、あとは時間の問題というところまで来ていて、“ノー・リミット”のヴァースは、「“ボダック・イエロー”ブレイク後の初録音!」などとも喧伝されながら、彼女のヴァース抜きのヴァージョンも公式に公開されるなど、不可思議な事態となった。“ボダック・イエロー”が、コダック・ブラックのフロウを借りた曲だから、そこに“ノー・リミット”が続くと、カーディ・Bには、オリジナルのフロウはないのか、との批判にさらされることを警戒したのだろうか。

Cardi B / Bodak Yellow



〈メイド・イン・アメリカ・フェスティヴァル〉での9月2日の彼女のステージをライヴ・ストリーミングで観たかぎり、自分のラップ入りのトラックをかけたまま、そこに声を重ねてパフォーマンスすることに終始していたほうが、フロウがパクリ云々などより、よほど気になった。

やや余談になるが、豪放磊落で下手に洗練されていないラップの全体的な印象は、特にゼロ年代前半からブラジルではかなりの人気を集めた、バイリ・ファンキの女性グループ、ガイオラ・ダス・ポッポズーダス(シンガーは、バレスカ・ポッポズーダ)のそれを思い出させるような、あるいは、レゲトンのイーヴィー・クイーンあたりか――とショッピング・モールか何かの大きな空間で、“ボダック・イエロー”が鳴っているのを耳にした時、ふと思った。きわめて単純な見方になるが、男性ラッパーが、マンブルと言われているのとは対照的ではある。

Gaiola Das Popozudas





10)
ラップソディの2作目のアルバム『レイラズ・ウィズダム』(2017年9月22日)もまた「マンブル」とは縁遠い作品だ。

Rapsody / Laila's Wisdom




そのうえ、アルバム全体がしっかり作り込まれていて、特に、楽曲の構成や構造(また「ソウル」ミュージックの注入量)については、ここに参加しているケンドリック・ラマーの、彼女自身も参加した『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』あるいは『グッド・キッド、マッド・シティ』に学んだかのような仕上がり。そこから強く感じ取れるのは、彼女とナインス・ワンダーを中心に、ケンドリック、テラス・マーティン、アンダーソン・パック、ビラル、BJ・ザ・シカゴ・キッド、さらには、バスタ・ライムスまでもがセッション・ミュージシャンのように、一つの作品の完成に向けて、創作活動を行っていったかのような一体感だ。

ただ、そのわりには、いまひとつ聴かれていない印象が強い。それに引き換え、カーディ・Bへの注目度が異様に高い。2017年10月6日に授賞式が行われた今年の〈BETヒップホップ・アウォーズ〉では、シングル・オブ・ザ・イヤー、ベスト・ニュー・ヒップホップ・アーティスト、ハスラー・オブ・ザ・イヤー、ベスト・ヒップホップ・スタイル、そして、ベスト・ミックステープで受賞、と、単純に数で言えば、ケンドリック・ラマーよりも多い。

ちなみに、ベスト・ミックステープでは、ジューシー・Jの前作『ガス・フェイス』(候補対象作品のリリース日の関係で『ハイリー・イントキシケイテッド』ではなかったのだろう、としか思えない)、グッチ・メインの『ドロップトップウォップ』、プレイボーイ・カーティの同名作、ティー・グリズリーの『マイ・モーメント』、ヨー・ガティ&マイク・ウィル・メイディットの『ガティ・メイディット』を抑えた、カーディの『ギャングスタ・ビッチ・ミュージック Vol.2』が栄冠を手にしている。

ネットでサッと調べたところ、今年の1月リリースのカーディのこのミックステープに一定以上の評価を与えた記事、というかレヴューの類が見当たらない。〈BET〉としては、そんな状況に異を唱えるべく? 全メディアで? 初めて? しかも、具体的に「今年のベスト」の判を押したのだろうか。



11)
逆に、4月に出たデトロイトのティー・グリズリーの『マイ・モーメント』は、もうじき各メディアから発表される年間ベスト・ミックステープ選で目にすることも多くなるのではないだろうか。

Tee Grizzley / My Moment



イントロから、アカペラでハードに聴かせる、しかも、小節内に言葉をたくさん詰め込むタイプのラッパー(そういえば、同郷のダニー・ブラウンやエミネムも言葉を押し込むタイプだ)。その勢いのまま引っ張ってゆくのかと思いきや、途中から、ケヴィン・ゲイツがするような歌を織り込むスタイルの楽曲も披露していく。ゲイツは、現在懲役30ヶ月で服役中だが、彼の曲もまた、数回の押し込み強盗や宝飾店強盗未遂で逮捕され、裁かれた個人的な体験に基づいているようだ。発声のせいなのか、総じて、サウスのラッパーのミックステープを聴いているような感触だ。



12)
このティー・グリズリーが演るようなハードなライミングを聞かせたりすることはないので、『ザ・ビガー・アーティスト』(2017年9月29日)でアルバム・デビューを果たしたニューヨークのエイ・ブギー・ウィ・ザ・フディーになると、ティーよりぐっとドレイク寄りの(?、あるいは、ポスト・ドレイク的な)スタイルを得意としているように聴こえる。彼は、昨年のドレイクとフューチャーのスウィート・シックスティーン・ツアーのオープニング・アクトを務めている。

A Boogie wit da Hoodie / The Bigger Artist





13)
「ニューヨークのサウンドというのは、ひとつではない。みんな昔を振り返って、ニューヨークのサウンドがあったというけど、実際にそこにあったのはいろんなタイプのサウンドだった。トライブがいて、そのあとハードコアなラップが出てきたわけだろ。デ・ラ・ソウルがいたと思ったら、ビギーが出てきたという具合に。それぞれが共存し、シーンの一部となり、互いにどこかで重なり合っているのさ。エイサップは、サウスに影響されていると同時に時々昔の西海岸のサウンドを持ってきたりする。それがニューヨークなんだ。みんながなんにでも影響される。俺もたくさんのものに影響されて、いろんなタイプのフロウを持ってるけど、その上で独自のやり方で演って、そこから出てくるのがニューヨークらしさなのでは」

と語るのは、〈XLレコーディングス〉からデビュー・アルバム『ノー・マウンテン・イン・マンハッタン』(2017年8月25日)を出した(ラットキング)のウィキ。

Wiki / No Mountains In Manhattan



彼によれば、表題は、マーティン・スコセッシ監督の名作『ミーン・ストリート』の一場面で、水辺に向かって話すように、自分の嫌いなものを一つ一つ挙げていった後に、一緒にいたガールフレンドから、「それなら好きなものは?」と訊かれたハーヴェイ・カイテルの答えの中に「山」が含まれていたため、「マンハッタンに山はないでしょ」と冷やかし気味に続ける彼女の台詞から取ったもののようだ。

映画では、このあと、彼が「高層ビルがある。同じだよ」と続ける。ウィキは、そこでカイテルが見せたセンス(あるいはメタファー)をしたためてゆく。途中の“パンドラズ・ボックス”で聴かれるように、元カノ、プリンセス・ノキアとのことを織り交ぜたりしながら、地元ニューヨーク、マンハッタンを、ことさら特別な場所として提示することよりも、(ヒップホップ・リスナーにピンとくるような)どこか普遍性があるものとして聴かせてくれる。ここでは、世代の異なるゴーストフェイス・キラーの客演も、わざとらしさはない。



14)
ウィキが、地元マンハッタンを取り上げる手つきとは、全く別の、というか、もう他の誰も絶対に思いつかないようなアイデアで、生まれ育った地元シカゴのロバート・テイラー・ホームスのことを、ソロ名義では通算6作目となるアルバム『ブリック・ボディ・キッド・スティル・デイドリーム』(2017年9月15日)にしてしまった(と書くのが適切だろう)のは、オープン・マイク・イーグルだ。

Open Mike Eagle / Brick Body Kids Still Daydream



全米屈指の大規模ハウジング・プロジェクトと言われたロバート・テイラー・ホームスは、取り壊され、もはや存在しない。その取り壊されてゆくプロジェクトでの出来事と、警官に殺されてしまう黒人の体内で起きていることを、重ね合わせ、マイク自身は、プロジェクトになったり、その黒人になったり、と常人には到底思いつかない内容となっている。

例えば、イグザイルによるトラックにブレイクビーツ感のある“ハッピー・ウエイストランド・デイ”では、何が起きても、「そんなのノーマル、それはノーマル、今はノーマル」とサビで繰り返され、今の世の中の思考停止状態に警鐘を鳴らし、「今や誰もがゾンビ映画の中状態、唯一の武器は常識」ともライムする。そもそも、この曲のコンセプトが、「一年に一日、フッドで全く暴力がない日があったら」というのだ(毎日、暴力と無縁の生活をしている人たちにはピンとこないかもしれないが)。

また、曲によっては、デイヴィッド・ボウイの歌詞を援用していたり、牧歌的なトラックにジュヴィナイルのフロウを意識したものを乗せたものもある。

ヒップホップは、その歴史の草創期からプロジェクトと共にあり続け、そこで生まれ育ち、アーティストとなった者が多いのは、リリックやアルバム・カヴァーやMVで繰り返し、取り上げられてきた通り。マイクの作品は「アート・ラップ」と呼ばれたりして、かなり多彩なビートに乗せた(ブラック・)ユーモアを得意としながらも、どうしても、知的で冷ややかなイメージに集約されがちだった。それが、今回は、コンセプトは「ありえない」のに、妙に血の通った、これまでの作品で最も親しみやすいものになっているのではないだろうか。


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